今年のお正月は穏やかな天候の中で、そしてスキー場にも適度な雪があり、たいへんすばらしいスタートが切れたのではないかなと思っています。昨年は7月に中越沖地震が発生しました。この間、皆様方の御尽力のお陰をもちまして、とりあえずお正月をしっかりと迎えられる体制まで持っていくことができたのではないかと思っています。この間の皆様の奮闘に対しまして、心より感謝申し上げます。あわせて、この場をお借りしまして、全国から、そして世界から様々な御支援を頂戴いたしましたことに、改めて心から感謝申し上げます。
さて、今年は2つの大きな目標を持って県政に取り組みたいと思っています。ひとつは、誰でも安心して過ごせる社会の構築に向けて前進を続けるということです。もうひとつは、将来に希望を持って多くの人が自分の夢をかなえることができるような、そういう社会をつくるために努力していくことの2つを目標に進んでいきたいと思っています。
今、新潟県では毎年約1万人以上の人口減少が続いています。恐らく、今年中には新潟県人口は240万人を割り込むものと思っています。生まれてくる子どもの数を見てみますと、年間約1万8千人となっています。しかし、この1万8千人のうち、実に6千人から7千人くらいが、家庭を持つ前に新潟県を去ってしまうという事実があります。特に、18歳から24歳までの若い層の皆さんが、新潟県から出て行ってます。この人口の社会減がなぜ起きるのかということですが、私は、人口の社会減は究極の住民投票だと思っています。どこに住んで、何をするのかというときに、残念ながら新潟県が選ばれていない。その結果、大都市圏に向かって人の流出が続いているということではないかと思っています。進学の問題、就職の問題などに取り組み、魅力のある地域にしていくことがないと、将来に大きな禍根を残すのではないか、と懸念しているところであります。
計算をしてみますと、生まれてくる1万8千人のうち、もし6千人が減るとなると、次のサイクルの子どもたちはどうなるのか。6千人減らして1万2千人、さらに女性はその半分ですから6千人くらいということになります。その6千人くらいの女性が、一生に産む子どもの数、つまり合計特殊出生率が1.4前後と仮定しても、生まれてくる人は8千人くらいになるわけです。この8千人が、もし平均寿命80歳まで生きるとしても、新潟県の人口は100万人を割るときがすぐやってきてしまう、という数字になることが予想されるわけです。
やはり、多くの人が新潟に夢を抱いて、そして生活ができる環境をしっかりつくりあげていくことが、この地域にとって将来に大きな影響を及ぼしていく、今まさに剣が峰に立たされているのではないかと思っています。
そして、誰でも安心できる社会をどうつくっていくかということですが、やはり年を取っても安心して過ごせる社会、これが構築されないといけないと思っています。そのためには、やはり医療問題に重点的に取り組まなければならないのではないかと思っています。どこに住んでも安心して過ごせる地域をつくらないと、やはり地域は崩壊します。そして、働く場が失われていくということにつながっていくわけです。医療というのは、人が生きていく上で必要不可欠な公共サービスであるという認識を持ち、そして働きたくなるような環境を同時に整備して、多くの医師の皆様、そして看護師をはじめとしたメディカル関係で働く人々が、新潟で多くの人と一緒に医療活動に従事して良かったと言えるような環境をつくっていかなければいけないと思っています。
いじめの問題もそうだと思っています。いじめというのは、残念ながらなくならないのかもしれません。人が人である以上、様々な感情に支配され、いじめをしてしまう。でも、いじめをされた側はどういう気持ちになるのかを学ぶことによって、社会に出てからは相手の気持ちがわかるというような、そういう社会人になっていくように育てていく、これが重要ではないかと思っています。人が人である以上、いじめは起きるんだと。でも、そのいじめを行うことによって、多くの人が傷つき社会全体がダメージを受けていくという考え方をみんなで共有することができれば、それはそれで素晴らしい社会であると。恐らく多くの人が何らかの形で経験があると思います。(いじめる方には)いじめたという気持ちがなくても、いじめを受けたと感じる人が、たぶん多くいらっしゃると思います。どうすれば、自分が心安らかに生活することができるのか、その経験の中から、やってはいけないこと、そしてどうすれば自分がいやなことを人にはしないのかということを、社会全体で価値観として共有することができるのか。これらのことが実現できれば、いじめは減るでしょうし、また孤独にさいなまれて自殺に追い込まれていく人も減っていくのではないかと思っています。
そしてガン対策、これもたいへん重要な課題だと思っています。今、新潟県では胃ガンと肺ガンで亡くなる人の割合がたいへん高くなっています。胃ガンは恐らく食生活が原因だと思っています。塩分控えめにという当たり前のことなんですが、これを進めていくこと。そして肺ガンというのは、やはりタバコとの関係、特に浮遊煙等の間接喫煙、こういったものをどう減らしていくかということを、社会として取り組んでいく、これが健康で長生きができる秘訣だと思っています。精神論に加えて、社会のメカニズムの中に、健康で長生きができるような、そういう仕組みを入れていくことが大事だと思っています。
これも何回か皆さんに申し上げていますが、男性の平均寿命の最も長い県は、長野県です。気候も、特に気温については新潟県よりも環境が厳しいかもしれない長野県が、日本の男性については最も平均寿命が長い。なぜ、そういうことができたのか。これは、行政の責務ということではないかと思っています。病院を中心にして、保健師の皆さん、そして基礎的自治体の皆さんが連携し、運動と食生活を改善する取り組みの中から、平均寿命の向上がみられたわけです。平均寿命を向上させ、できれば1番を目指す。1番というのは、皆さん頭に入るのですが、2番以下というのはなかなか出てこない。1番ということは、新潟県に対する魅力がひとつ付け加わることだと思っています。平均的に人並みだからいいということではなく、やはり誰もが安心して暮らせて、そして将来に希望の持てるふるさとをつくっていくために、キラリと光る1番というものを、ぜひつくっていきたいと思っています。
21世紀の公務員像、これは20世紀と違うものが求められています。20世紀型の公務員、特に中央集権を基軸とした公務員像というのは、中央から流れてくるお金をどう分配するか、そしてまたどう権限を行使するかということが1番重要なテーマだったのではないかと思っています。21世紀の公務員というのは20世紀型の公務員から脱却して、多くの人に頼られる公務員だと思っています。皆さんは、公の仕事を志した以上、やはり社会のために役に立ちたい、多くの人に喜んで欲しいと、そういう気持ちのもとで公務員を志したと思っています。そういう意味では、より公共への奉仕の精神というものを強く持っている方々が、この県庁に集っていると思っています。ぜひ、頼られる公務員になっていただきたい。そして、県庁に相談したら問題が解決することができた、という喜びを多くの人が感じるような、そういう仕事をぜひ皆さんと一緒に今年もやっていきたいと思っています。愛される新潟県庁、そして多くの人に頼られる新潟県庁、情報の結節点になる。そして、解を導き出すために必要なものを予算化するという手順を、ぜひ取っていただきたい。目標があってそれに向かって多くの人の知恵を結集し、それに必要な財源を予算化して使っていく。こういう仕事の流れをぜひ確立していただきたいと思っています。
ポストとお金に向かって権限を行使して集めた情報は、実はあまりいい情報が集まりません。権限とお金に向かって集まってくる情報とは、この人に頭を下げるとお金をもらえるかもしれない、書類にハンコを押してもらえるかもしれない、という形で集まってきた情報であり、とにかく時間を短くしてこの人から離れてしまおうという情報になる可能性が高い。そうではなくて、この方に相談すると、私の抱えている問題が解けるかもしれない。そうした形で相談される情報というのは、ホントに重要な情報、キラリと光る情報、こういったものが多く含まれていると思っています。そして、その情報に基づいて相手の気持ちを理解して問題を解決する。そういう能力を組織全体として持てたときに、やはり新潟県庁は愛される新潟県庁になっていくということだと思っています。
そして多くの人から信頼されることになると、天下り問題というのも解消してくるのではないかと思っています。予算と権限でポストを獲得していくというような印象を持たれているのではなくて、この人に手伝って欲しいという形で、例えば第2の人生を歩み出すということができたときに、感じ方というのはずいぶん違ったものになるのではないかと思っています。今、県民の皆さんが何に困っていて、そして何を問題としていて解決して欲しいのか、自らそれぞれの役割の中で課題を発掘し、そしてそれを解決していく、そういう1年にすることができれば望外の喜びであると思っています。
今年、穏やかな中で新年がスタートいたしました。ぜひ、今年の年末には、今年はいい年だったと言えるような年になるように、新年を迎え気持ちを新たにして、職務に邁進してまいりたいと思います。今年1年がすばらしい年になることを祈念いたしまして、私の新年のあいさつとさせていただきます。
本年もどうかよろしくお願いいたします。
(平成20年1月4日、職員に対する年頭のあいさつを秘書課で編集したものです。)
